【本当にたたかったお嫁さま】その47.引っ越し業者のナンパ?

・本当にたたかったお嫁さま

前回の【本当にたたかったお嫁さま】その46.「一生の宝物」では、

2000年11月下旬、家の中は相変わらず母の怒りが充満していて、いつ爆発するか分からない緊張の糸が張りつめたような状態のままで、父はそんな母をどうすることも出来ず、私は私で自分の新たな人生の準備を粛々と進めていたので、家族全員がほぼ会話のないまま引っ越しの前日になりました。

両親に祝福してもらって嫁に行きたい、そんな希望ももうすっかり諦めがついていたのですが、家族そろって食事をすることもないまま一人自分の部屋で荷造りに追われていたので、ちょっと虚しい気分になったりしていたところ、ケータイに同級生から1通のメールが届きました。

そのメールには、家族からも言ってもらっていなかった温かい言葉が。

一生の宝物となった言葉をいただいて、私はいよいよ引っ越しの日をむかえたのでした。

今日はそのへんのお話をしたいと思います(^^)

 

12月上旬予定の結婚式より20日ほど前の2000年11月下旬、私はいよいよカレが一人暮らしをしているワンルームマンションへ引っ越す日がやってきました。

子供の頃から何度願ったかも分からない「実家から出たい」という夢がついに現実となったので、引っ越し当日の朝に目覚めた瞬間は喜びと安心感でさぞ幸せな気分になるだろう!っと思いきや。

「ちょっとアンタッ!引っ越しのトラック、もう家の前に来てるみたいだけどっ!!」

1ヶ月近く私とは一切口をきかなかった母に起こされたのです。

母が話しかけてきたことに驚き、それに加え、予定時刻よりも1時間以上早く引っ越し業者が来たことに焦りまくり、私は幸せな気分を味わう間もなく慌てて飛び起きました。

本当は引っ越し業者は朝の8時に来る予定だったので、すっかり荷造りを終えていた私は7時に起きれば間に合うと思っていたのに、6時50分に母から「トラックもう来てる!」と起こされたのですから、この引っ越し業者はいったい何時に家の前に到着していたのだろう?

とにもかくにも、私は急いで着替えて、顔を洗って歯を磨き、10分くらいで身支度を整えて家の前に出ました。

すると、待ってました!とばかりにトラックの中から3人の男性が降りてきて、リーダーらしき人が「〇〇さんですか?」と言いながら近づいてきて、「お引越しの方は、もう始めて大丈夫ですか?」と聞いてきたので、こちらとしては「なんでこんなに早いの?」とも聞けず、慌ただしく荷物の搬出が始まりました。

 

父は既に会社に行って家にはおらず、母は私を起こした後は居間の方へ引っ込んでいたので、私一人で引っ越し業者の対応をして、とりあえず2階の私の部屋に案内しました。

すると、リーダーらしき人が私の部屋に入るなり

「綺麗に荷造りしてくれていますねぇ!これだけ荷造りしてくれていると、こちらもとても楽で助かるんですよぉ!ありがとうございますぅ~。お客さんの中には一切荷造りしてなくて普通に生活している状態のまま『はい引っ越し始めて下さい~』って人もいるんですよぉ。ちょっと勘弁してよ~って感じですよぉ。ハハハッ!」

いきなり弾丸トークが始まり、私はちょっと引き気味で「うわぁ…そうなんですねぇ(^^;」などとテキトーに返事をしたのですが、さらにリーダーらしき人のおしゃべりは続き、

「部屋の壁、綺麗ですねぇ!自分はたばこ吸うので、部屋の壁が煙で変色してるんですよぉ。だからたばこ吸う人の部屋ってすぐに分かるんですよねぇ~!」「あ~…そうなんですねぇ(・・;」

「お引越し先は埼玉県ですね、実は自分の家もそっちの近くなんですよぉ!」「あ~…そうですかぁ(--;」

そうやってリーダーらしき人がペラペラと話しかけてきている間も他の2人の引っ越し業者さんはせっせと荷物の搬出をしてくれていて、そのくらいから私はだんだんとこのリーダーらしき人が鬱陶しくなってきて「なんでお前は仕事しないのだ?」と思ってイラついてきたタイミングで

「ご実家からのお引っ越しなんですね~、お仕事の転勤かなにかですかぁ?初めての1人暮らし?」

とプライベートな事まで遠慮なく、しかもため口で聞いてくるようになったので、もしや仕事にかまけてナンパしようとしてる?

私のこめかみのあたりの寛仁袋の緒が軽くプチン!と切れて

「いいえ、結婚で婚約者の住んでいる家に引っ越します。」

と無表情のままキッパリと返事をしたところ、急にリーダーらしき人は「…あぁ~。」と言ったっきり全く話しかけてこなくなって荷物の搬出作業に戻ったので、心底清々したのでした。   ~ つづく ~

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