【本当にたたかったお嫁さま】その9.顔面蒼白

・本当にたたかったお嫁さま

前回の【本当にたたかったお嫁さま】その8.「結婚の挨拶の日程を決めるまで」では、

両親に結婚の意思を伝えてから、母は私のことを完全無視し始めたのでした。

おそらく、毒親である母には、それがその時の私にとって何よりつらくて苦しいことだと分かっていたからでしょう。

それに、そうやって私を無視することで、結婚の話を進ませないようにしていたのだと思います。

そして、しばらく様子を見ていましたが、一向に話が出来るような状態になりません。

「このままでは母の思惑通り結婚の話を進められない…(--;」と思った私は、母の説得を完全に諦めて、父とだけ話をして話を進める作戦を決行しました。

そして、母が納得しているかどうかも分からないまま、いよいよカレが実家に結婚の挨拶に来る日がやってきたのでした。

今日はそのへんのお話をしたいと思います(^^)

 

まだ肌寒い初春の金曜日の夕方、カレも私も仕事を定時で切り上げて、途中の駅で合流してから実家の最寄り駅がある沿線の電車に乗り込みました。

カレはさほど緊張もしていないように見えましたけど、もしかしたら、緊張していない素振りをしてくれていたのかもしれません。

なぜなら、自分の実家へ行って自分の両親に会う私の方が、顔面蒼白になるほど緊張しきっていたからです。

きっと傍から見たら「これからカレを連れて実家の両親に幸せの結婚の挨拶に行くどこかの家の娘さん」だなんて、絶対に!100%!見えなかったでしょうねぇ。

なんだったら「具合悪いの?」って思われたかもしれないくらいだったと思われます。

カレが私の横に座って一緒に実家へ向かってくれているのにも関わらず、私は牢獄へ向かうかのような気分で、車窓からの見慣れたいつもの景色が、まるで他人事のようで白黒の映画のスクリーンを見ているような感覚になっていましたね。

だって、どうしたって修羅場が待ち構えているのが分かっていたから。

何かあった時に私が母からカレを守らなければと思っていたから。

家に帰りたくないなんて気持ちは日常茶飯事な人生だったけど、こんなにも家に向かうのが恐ろしく感じたことは、今でも忘れられません。

母は玄関の鍵を開けず、カレを家の中に招き入れないかもしれない?

家に入れたとしても、母がカレに失礼な態度や暴言を吐いたりしないだろうか?

逆上して暴力をふるったりしないだろうか?

そんな親を見て、カレはこの結婚に嫌気がさしてしまわないか?

不安が次から次へと頭に浮かんできて真っ暗な気持ちで電車に揺られていると、そんな私の顔を見てカレが時々「まぁ、なるようになるよ。大丈夫だよ。」と声をかけてくれたんですけど、頭の中は完全にキャパオーバーになっていて、カレが勇気づけようとしてくれている言葉ですら、どこかぼんやりとしか耳に入ってきませんでした。

 

そうこうしているうちに電車は最寄り駅に着いて、そして、いよいよ実家へ到着しまして。

私はカレと目を合わせて「行くよ・・・」と声をかけ、大きく深呼吸してから「え~い、ままよ!」とインターホンを押しました。

いざ、決戦の時です。

さて、両親は玄関を開けて出迎えてくれるのか?

・・・どうだ?

・・・・・まだ開かない。

・・・・・・・やっぱりダメなのか?

しばらくして、玄関がカチャッ…と音を立てて開いて、そこには、母が立っていました。

その顔は、私には母が心の中で怒りをみなぎらせているのは分かりましたが、表面的には何とか取り繕って平静を装っていました。

すかさず私が「ただいま…」と声をかけたところ、意外にも、開口一番で怒鳴るとか、カレに対して「家には入れない!」と言うようなこともなく、小さい声で

「あ、どうぞ。」

とポツリと言って玄関の中に姿を消したので、無事に2人で実家に入る事が出来まして、私としてはひとまず第一関門突破と言った感じでした。

 

こうして何とか家の中に入れたものの、母はすぐに姿を消してしまったので、私がカレを父がいるであろう居間まで案内しました。

そして居間では父がお茶を飲みながら待っていて、カレの姿を見て立ち上がって「あ、どうも。初めまして。」と父の方から先に挨拶をしてくれて、カレも「初めまして、○○と申します。」と挨拶をしてから、机を挟んで座って話が始まりました。

そして母は、最初は台所でお茶を淹れたりしながらなかなか居間には来なかったので、「相変わらず私のことは完全無視で通すつもりなのかな」「カレとも挨拶しないのかな」「でも、それならそれでいい。父に挨拶出来れば、それで良しとしよう。」と思いながら、父とカレが話しているのを聞いていたのですが、しばらくして、フラリと母が居間にやってきて話の輪に入って来たのです?!

しかも、いつも私に向ける怒りの表情ではなく、何食わぬ顔?と言うと語弊があるかもしれないけれど、普通に話しかけてきたのです。

最悪の状況を覚悟していた私にとっては、これは予想外な出来事でしたが、母が頭ごなしに怒鳴り散らしたりしてこなかったことは、心底ホッとしましたし、少し嬉しい気持ちになりました。

もしかして、やっとカレと私の結婚を認めてくれたのかなって。

こうして、両親とカレと私の4人で話が始まりました。

でもそれは・・・嵐の前の静けさ、だったのでした。   ~ つづく ~

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