私は、母の言動の異常さに悩まされながらも、その異常さの理由が全く分からないまま実家で過ごしました。
精神的に追い詰められながら生きる人生は、本当に苦しかったですね。
そして結婚してからも、しばらくの間は母の異常さの答えが分からないまま過ごしていましたが、30代の半ば頃になって「毒親」と言うものを知って、やっと、自分の母は毒親なのだと認識しました。
母の言動の異常さの原因はこれだったのか!!!と答えが分かった時の、喜びと言うよりも安堵感と、私の中で腑に落ちたあの瞬間の、ずっと霞に包まれていたものがクリアになっていった感覚は、今でも鮮明に覚えています。
ここでちょっと話は変わりますが。
私が母は毒親なのだと認識してから、程なくして、同じく「母が毒親」だと言う知り合いの方の話を聞いたことがありました。
あまり詳しくは聞きませんでしたが、その方が2人目のお子さんを出産された時に、1人目のお子さんは旦那さんにお任せして自宅に残して、里帰り出産をされた時の話でした。
無事に出産を終えて、母子共に退院して実家へ戻ったそうですが、毒親のお母さんの言動に耐えかねて(お父さんは既に他界されていて)、退院してものの3日ほどで「もうこれ以上実家にいられない…」と思って、生まれたばかりの赤ちゃんを連れて自宅に戻ったとのことでした。
そして、自宅へ戻る前にお母さんと口論になった時に「私、母にはっきりと『あなたは毒親だから!』って言ったのよ。」と話を聞かせてくれました。
話を聞いた私は、まだ本調子ではない体でね、心安らげない実家での時間は相当しんどかっただろうと思いましたし、生まれたばかりの赤ちゃんを連れて自宅へ戻るのも相当大変だったでしょうし、自宅へ戻れば元気いっぱいの1人目のお子さんがいて、そんな日常生活に戻りつつまた生まれたばかりの2人目の赤ちゃんの子育ても待った無しでしょうから、色んな意味で大変だっただろうなと思いました。
それと同時に、私には1つ、とても驚いたことがありました。
それは、知人がお母さんに対して面と向かって「あなたは毒親だから!」と言えたことに、ビックリしたのです。
思えば私は、母が毒親だと認識した30代半ばの頃からもう20年近く経とうとしていますが、母に面と向かって「あなたは毒親だよ」と言えないでいます。
知人がお母さんに対して面と向かって「あなたは毒親だから!」と言ったと聞いた時は、それにちょっと勇気をもらったとでも言いますか、「私もいつか時がきたら、母にちゃんと『あなたは毒親だよ』と言おう!」と思ったんです。
母にちゃんと、自分が娘にずっとしてきたことに気づいてもらうため、自分がしてきた行いを認めてもらうため、そして、反省してもらうために。
でも実際は、言えませんでした。
それで最近「どうして私は『あなたは毒親だよ』って言えなかったんだろう?」って、ふと考えてみたんですね。
で、真っ先に思い浮かんだ理由は、私が意気地なしだから。
そしてもう1つの理由は、母に言っても無駄だと思っているから。
文章で母が私の中でどんなに恐怖の存在になっているかを伝えるのは難しいのですが、私が母に自分の考えや意見を一言でも言おうものなら、冗談抜きで10倍くらいになって攻撃と言う形で返ってくるのが常だったので、それを思い出すと恐怖心が勝って、面と向かって言う勇気がありませんでした。
それに、母は自分だけが正しくて悪いことをしているなんて微塵も思っていない人なので、そんな人に「あなたは毒親だよ」と言ったところで「何の話?」くらいで流されるか、懸命に伝えたところで母が認めるはずも無いし、むしろ「育ててもらっておいてその言いぐさはなんだ!この恩知らずが!」と逆切れされて私の方が悪くなるのが目に見えるので、言っても無駄だだろうなと。
それならば、これから改めて言ってみようか?とも考えてみたんですけど・・・それもないですね。
理由は、80代に突入した母に向かって今更「あなたは毒親だよ」と言ったところで、過去に母から言われたりされたりした事は、消えることはないのです。
これは半分、あきらめの境地ってやつでしょうか。笑
それに、両親が年老いてきて近年になってやっと、上辺だけでも穏やかに親子っぽく会話が出来るようになった今、それをブチ壊してまた昔のように母との関係を悪化させて苦しむのは、もう御免なのです。
私の人生、親子関係で思い悩む時間があまりにも長すぎたのでね、疲れました。
順番で言えば、たぶん、親の方が先に旅立ちます。
それまであと何年あるか分からない残りの時間を、いかに上辺だけでも穏やかに過ごせるかを考えながら過ごした方が、両親にとっても、と言うよりも、正直に言うと、何より私のためなんじゃないかなと思うのです。
だから私は、毒親に「あなたは毒親だよ」とは言えないし、これからも言わないでしょう。
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