前回の【本当にたたかったお嫁さま】その48.「引っ越しの日」では、
2000年11月下旬、私は母とはもう話すこともないまま実家を後にするのかなと思っていましたが、意外にも引っ越し当日に母が私の部屋へやってきて、台所の収納スペースに入れたままずっと使われていなかった鍋やタッパーウェアの商品ではありましたが、幾つか持たせてくれました。
そして実家を出る時も、母に声を掛けたら一応玄関まで出てきてくれたため、実家を離れるにあたり覚悟していた「両親とはもう一生会うことはないかもしれない」「今生の別れになるかもしれない」と言う問題は、どうやら回避できそうだなと感じて、少しホッとて実家を後にしました。
こうして私は、ずっと願っていた「鳥かごのような実家から出たい」と言う願いが叶い、地元の駅から電車に乗って、引っ越し先であるカレが暮らしているマンションへ向かいました。
引っ越しのトラックが先に到着するか、私が先に到着するかのギリギリの時間だったので、私は喜びを感じつつも焦って移動していました。
そして、問題発生・・・
今日はそのへんのお話をしたいと思います(^^)
引っ越し業者が予定よりもかなり早い早朝に到着したのが原因で、私の引っ越し当日はめちゃくちゃ慌ただしいものとなってしまいましたが、そのおかげでと言ってはなんですが、家を出る前に母と2ヶ月ぶりくらいに少し話せたので、ほんの少しだけホッとして実家を後にすることができました。
と同時に、長い間ずっと家の中に自分の居場所が無いと感じながら生きてきた私にとって、やっと心から信頼できる家族(カレ)と暮らせる人生が始まる幸せと、鳥かごのようだった実家を出ることが出来た喜びと、30歳にしてやっと自由な身になった解放感と、色んな気持ちが入り混じって、移動中の電車の中の私はちょっと夢の中にいるような感覚になって、放心していました。
まさに、浮足立っていたのだと思います。
そんな状態で、神奈川県の実家から引っ越し先のカレの家がある埼玉県の駅に到着しました。
そして、駅に着いてすぐにケータイで「駅に着いたよ~」とカレに電話を入れると、なんと、引っ越し業者のトラックがもう既に到着していて、荷物の搬入が始まっていると言うではありませんか?!
駅から歩いてカレの家に向かおうと思っていましたけど、私は急きょ、駅のタクシー乗り場からタクシーに飛び乗り、カレの家に向かいました。
そしてものの数分でカレの家の近くの大通りまで着いたので、私は大通りに出る手前の家から50メートルくらい離れた場所でタクシーを降りまして、大通りを渡るために信号待ちをしながらカレに電話をしようとして鞄の中に手を入れました。
すると・・・ケータイが見当たりません。
えっ?!何度も鞄の中を探して見ましたが、やっぱりケータイは姿を消していました。
駅に到着して電話をした時に落としたのかもしれない・・・早く取りに行かないと・・・と焦りましたが、引っ越し業者のこともあり再び駅に戻る時間もなかったので、私はひとまずカレの家に向かいました。
そして家に到着すると、荷物の搬入はほぼほぼ終わっていて、私が持ってきた箪笥などはカレが引っ越し業者に指示してくれたおかげで予定していた場所にきちんと運び込まれていたので、私は家に到着すると同時に引っ越し業者の作業完了の書類にサインをしたりして引っ越し業者を見送り、後は、2人で段ボールに入っている私の洋服などを箪笥に移したり、持ってきた僅かな2人の食器などを出すだけとなりました。
でも、それよりも何よりも先に、私はまずはケータイを見つけ出さなければなりませんでした。
なぜなら、職場の連絡先も、仕事関係の人の連絡先も、友人知人の連絡先も、全てケータイにしか登録していなかったので、ケータイが無いと引っ越しが終わった連絡を友人知人にすることも出来なければ、急に体調が悪くなったりしても会社に連絡を入れることも出来ないので、ケータイが無いのは致命的だったからです。
どうしよう・・・
まずは、引っ越しの喜びを味わう間もなく、私はカレに最寄り駅の電話番号を調べてもらい、カレのケータイを借りて最寄り駅に電話をし、ケータイの落とし物があったかどうか確認してもらいました。
ところが、その日にケータイの落とし物はありませんとのお返事が。
え?駅で落としたんじゃないの?・・・それじゃあ、どこで?
見当が外れてしまった私は焦っていたら、カレが「ケータイに電話してみたら?」とアドバイスしてくれたので、私はもう一度カレのケータイを借りてイチかバチかで自分のケータイに電話をかけてみました。
すると、プルルルル・・・コールしている音が聞こえます。
誰か近くに人がいてくれ~~~気づいてくれ~~~と思いながら、7コールか8コールくらいした頃、プッ!っと、誰かがケータイに出た音がしました。
やった!誰か出てくれた!私は急いで「もしもし!」と声をかけると、「あ~、はい!」年配の男性の声が聞こえて来たので、間髪入れず「すみません!そちらのケータイを落とした者なんですけど・・・」と話しかけると、「あ~、落とし物ですね?こちら〇〇警察署です。先ほどタクシーの運転手さんからこちらのケータイを拾得物で預かりました。〇〇警察署まで受け取りに来れますか?」とのことで、私は引っ越しするや否や、カレと引っ越しの荷物を放り出して家を出て、最寄りの警察署へ向かう羽目になったのでした。
引っ越して来たばかりで警察署の場所も分からなかったため、私は再びタクシーの乗って警察署に向かったところ、警察署は隣町にあって比較的近かったので、さほど時間はかからず到着しました。
そして、手続きを終えて、無事にケータイを受け取り、帰りもタクシーに乗ってカレのいる自宅に到着した頃には、すっかり日も暮れて真っ暗。
せっかくの引っ越し初日でしたが、私は早々に警察署のお世話になり、何かお祝いの食事を作る余裕も時間もなくて、近所のスーパーで買ってきた弁当を頬張り腹を満たし、ロフトがあるとは言え、言うてもさほど広くもないワンルームマンションですから、とにかく横になって寝れるスペースを確保するために簡単に片づけられるダンボールの荷物だけをパパッと片付け、ヘトヘトのボロボロになって長い一日が終わったのでした(--; ~ つづく ~
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