今日は、我が家の愛犬が経験した闘病の記録を踏まえながら、犬の心臓病について書きたいと思います。
我が家の愛犬の闘病はほんの一例でしかありませんが、もしも今、大切な家族である愛犬が心臓病と診断を受けてしまった飼い主さんがいたとしたら、その後、何をどうしたらいいのか分からなくて不安なことと思います。
私も夫も、愛犬の状況に変化がある度に判断と決断に迫られて、不安と心配で押しつぶされそうになったこともありました。
でも大丈夫です。
逆に言えば、治療の選択肢も手の施しようも多々あって、家族として最後までやってあげられることは色々ありました。
少しでも参考になってくれたら幸いです。
Contents
愛犬が心臓病だと気付いたきっかけ
我が家の愛犬さくらが心臓病だと分かったのは2016年8月、約12歳半の時でした。
毎年、春にフィラリアの薬をスタートさせるタイミングで血液検査など健康診断を受けていて、その年の春も健康診断はちゃんと受けてはいましたが、心臓病は血液検査では(エコーや心電図でないと)分からないのです。
なので、気付いた時には既に初期の段階ではないと言われ、症状を4段階に分けるとしたら(1が初期症状)既に2~3の間位の段階くらいになっていて、心臓も肥大していました。
私がさくらの異変に気付いたのは、咳でした。
フードやおやつをガツガツ食べて咳き込んだわけではなく、ケホケホと、時々だけどコンスタントに咳が1日続いたので、動物病院へ連れて行ったのです。
心臓病が進行してからの病院の選択肢
さくらが心臓病と診断を受けたのは、いつもお世話になっていた近所の動物病院でしたが、心臓病が進行してからは(最後の1年間くらい)、近所の動物病院の紹介で世田谷にある心臓病専門の動物病院でも診察してもらい、2つの動物病院で連携してもらって治療を続けました。
理由は、近所の動物病院は人間の病院で言うところの町医者的存在なので、病状が進行してきて専門的な治療や薬などが必要になってからは、専門病院でないと手に負えなくなってきたからです。
ちなみに、専門的な治療や薬が必要な場合、病院の選択肢が幾つかありました。
- 専門病院 (動物病院にも病気ごとの専門の病院があります)
- 大学病院 (動物病院にも大学病院があって、しっかりした医療を受けられます)
- 総合病院 (総合病院では色んな科があって、連携して治療してもらえます)
- いつもお世話になっている動物病院 (最後までかかりつけの動物病院で診てもらう選択もあります)
病院選びは、人間も動物もほとんど同じ感じでした。
我が家のさくらの場合は
- 心臓病の専門病院は家からは遠かったので、何かあった時にすぐに連れて行けないこと
- 心臓病の専門病院はその名の通り「心臓病だけの病院」のため、その他の診察や治療やケアなど(他の病気の対応や、狂犬病やワクチン注射や、フィラリアの薬など)は出来ない
このような2つの理由から、かかりつけの近所の動物病院と心臓病専門の動物病院の両方で連携してもらっていたのでした。
心臓病の治療について
心臓病になると、完治させるためには手術しかなくて(ちなみに心臓病専門の動物病院では、手術費は当時約200万円と聞きました)、犬が高齢で体力的に手術に耐えられなかったりとか、ご家庭の方針など、手術をしない場合は、飲み薬など対処療法を続けて最後まで上手く付き合っていくことになります。
でも、初期で心臓病を発見できさえすれば、薬で症状の進行を早めに抑えられて、寿命まで生きることが出来るかもしれないとのことで、やはり定期的な健康診断で血液検査などだけではなくエコーや心電図なども受けさせてあげることが大切なんだと、今になって思います。
さくらの場合は、それなりの高齢ではあったのと、ここはとても悩みましたがやはり手術費が高額だったため、薬や対処療法で治療を続けることにしました。
最初は1日1回心臓病の進行を抑える薬を服用することから始め。
少しずつ症状が進行するごとに、心臓を支えている筋肉の痙攣みたいなものを抑える薬とか、利尿剤とか、服用する薬の種類や量を微調整しながら増やしていきました。
心臓病なのになぜ利尿剤かと言うと、心臓が肥大すると心臓が血液を送り出すポンプの力が弱って体内に水分が溜まってしまうので、利尿剤を服用してある意味ちょっと強制的に尿の量を増やして体内の水分を排出する必要があるのです。
ただ、心臓病になると体内に水分が溜まりやすくなるので、必ず腎臓の数値も徐々に悪くなってしまいます。
それなのに、利尿剤を服用してその腎臓にさらに負担をかけなければならなくて、腎臓の数値の悪化にも拍車がかかってしまうと言う矛盾に陥るのですが、「体内の水分を排出させないわけにはいかない」ので、それは仕方のないことでした。
なので、その時その時の状態で、利尿剤も、他の薬の量も、多すぎず少なすぎずちょうどの量になるように、飼い主は日々の愛犬の状態をこまめに動物病院の説明して決めて行く必要がありました。
2つの動物病院に連携してもらう
2017年5月~6月頃、さくらは大ピンチに陥りました。
心臓病が少しずつ進行してきて不整脈になってしまい、体内(胸部・肋骨の内側あたり)に水が溜まり、その水分が心臓や肺や気管を圧迫し、突然呼吸困難に陥り口から泡をふいて意識ももうろうとした状態になってしまったのです。
この時は本当に焦りましたが、幸い夫も私も家にいたので、急いでかかりつけの動物病院へ連れて行くことが出来て一命をとりとめました。
対処方法としては、胸部に溜まった水を脇腹あたりから注射の針を差し込んで直接水分を抜く方法です。
この日から2~3日おきに苦しくなっては動物病院へ通い、水分を抜いてもらうのを繰り返しました。
赤い絵の具を混ぜたような水で、毎回300~600ccと驚く量の水を抜かなければならず、水分と言っても体液なので栄養分も一緒に排出されてしまうためMAXで10kg近くあった体重は7kgを切るほど見る見る痩せていってしまった頃でした。
さくらはこのタイミングで、心臓病専門の病院での診察も開始しました。
心臓病専門の病院ではさらに詳しい検査と結果を知ることが出来たので、すなわち、その時のさくらに必要な薬の種類と量の微調整をキッチリしてもらえました。
さらに、一般的な動物病院では取り扱っていないであろう犬猫用の不整脈の薬も、高価ではありますがちゃんと準備されていて、幸いにもさくらはその不整脈の薬が効いてくれて(個体差があって効く子と効かない子がいるそうです)、心臓の動きも安定し、胸部の水も溜まらなくなり、穏やかな日常に戻ることが出来たのでした。
家でもやってあげられる対処方法はある
胸部の状態を高くしてあげる
不整脈の薬が効いてくれたおかげで、幸いにも体調が劇的に落ち着いたさくらでしたが、心臓病が治ったわけではありません。
心臓が徐々に肥大するにしたがって、気道や肺が圧迫されて、寝ている姿勢によっては苦しくなってしまうことも多々ありまして、そんな時に有効なのは、胸部の状態を高くしてあげることです。
写真の様に、胸部・首・頭を高くするように寝かせてあげると、肥大した心臓に気道が圧迫されにくくなるのでお勧めです。
前足ごと胸部をビーズクッションの上にドンと乗せてあげると、だいぶ楽そうにしていました。
レンタル酸素室
心臓病は薬で進行を遅らせる事は出来るものの、それでも少しずつ進行していってしまうので、症状が酷くなってくると肺が酸素を取り込める%が下がってきて酸欠になってしまうこともあります。
そんな時は、写真の様な透明なプラスチックの「酸素室」に入れて、高濃度酸素の室内で酸素を十分に体内に取り込めるようにしてあげます。
酸素室を利用するためには、3つの選択肢があります。
- 動物病院に入院して酸素室に入れておいてもらう
- 酸素室を購入する
- 酸素室をレンタルする
ちなみに我が家は、近所のかかりつけの動物病院が閉まっている時(木曜・土曜の午後と、日祝が休診だったため)に発作が起きてしまうか心配だったので、レンタルしました。
でも、幸い上記の通り不整脈の薬が効いてくれたので、レンタルしたものの利用することなく返却となりました。
レンタルする場合は
- かかりつけの動物病院でレンタル会社を紹介してもらう
- ネットで「ペット用酸素ハウス」「酸素ハウスレンタル」「ペット用酸素室」で検索すると、お住まいの地域でレンタル出来る業者を検索できる
レンタルする機材は
- 高濃度酸素を作る機械
- 高濃度酸素を密閉する透明なペットハウス
- 機械とハウスをつなぐゴムチューブ
- 写真の様に高濃度酸素を作る機械から直接口元に酸素送ってあげることが出来るマスク
などがセットになっていました。
薬で胃が荒れてしまわないための我が家がやっていた対策
心臓病が進行していくと薬も増えて行くので、仕方のないことのようですが胃腸も荒れて食欲も落ち、下痢気味になってしまうそうなので、そんな時は「人間が飲む胃薬のガスター10を少量与えてあげて下さい」と心臓病専門の動物病院の先生から教えていただきました。
ただ、幸いさくらは一度も胃薬のお世話にならずに済みました。
これには先生も「なんで大丈夫なんだろう?」と首をかしげていました。
ただ、もしかしたら、我が家が胃荒れ対策になるかもしれないと思ってやっていたことが功を奏していたのかもしれません。
それは
- 薬を飲ませる前にフードを食べさせること(晩年はカリカリフードは食べなくなっていたので、肉や魚を茹でたり焼いたりしてあげるか、普段食べているフードを水でふやかしてペースト状にして太めのシリンジで食べさせてあげていました)
- 薬を飲ますのに水ではなくプレーンヨーグルトで与えていたこと(胃膜になって薬から胃腸を守ってくれた?)
本当にこれが良かったとは断言は出来ませんが、愛犬の胃腸が薬で荒れてしまわなかったのも事実です。
愛犬が最後にくれた時間
さくらが心臓病と診断を受けた時、私は犬や猫の心臓病についての知識が全くなかったので、もうすぐにお別れしなければならないのか?と勘違いして、愕然としてしまいました。
でも、動物病院と先生に協力していただいて、愛犬と過ごせる愛おしい時間を延ばしていただけました。
闘病期間は、1年8ヶ月。
心臓の不整脈が出た時には動物病院の先生たちからは、あと1ヶ月か・・・2ヶ月か・・・と言われていたのですが、心臓病専門の動物病院の力も借りつつ、それから約1年間、さくらは先生たちも驚くほど本当によく頑張ってくれました。
そして、もう少しで14歳になる2018年4月29日 午前0時半 永眠
この奇跡のような最後の1年間は、さくらが私達夫婦にお別れの時が必ず来ることの心の準備をするためにくれた時間のような気がしています。
そして、この我が家のさくらの闘病の記録が、今頑張って闘病しているお友達の力に少しでもなってくれることを願います。
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