めったに吠えなかった愛犬が唯一吠え続けた時のこと

・不思議な話

先代の愛犬(♀)は、私たち夫婦にとって人生で初めて一緒に暮らしてくれた犬であり、私たち夫婦の年齢からして今後もたぶん犬と暮らせる機会はないだろうと思っているので、最初にして最後の愛犬だと思っています。

一歳半で里親会のボランティアさん宅から我が家に来てくれた愛犬の生い立ちは、ボランティアさんから事前に説明を受けて知ってはいました。(過去記事:『【小さい家族たち】愛犬(女の子)』⇩参照)

その生い立ちのせいか?それとも単なる性格だったのか?愛犬はかなり怖がりな性格でしたが、怖がりだからと言ってワンワン吠えまくったり噛みついたり暴れたりするようなことは一切ありませんで、むしろ、怖がり過ぎて吠える勇気もないような仔でした。

そして、大人しくて気が優しい仔でもあったので、当時一緒に暮らしていたシマリスやボタンインコやセキセイインコたちにも怖がらせるようなこともせず優しく接してくれたので、それは飼い主としてもとても感謝していました。

 

そんな愛犬なので、めったに吠えませんでした。

私たち夫婦が「ワン!」としっかり吠えた愛犬の声を聞けたのは、一緒に暮らした12年半の間に、たったの5~6回ほどしかありませんでした。

しかも、吠えたと言っても、外で犬友と会って嬉しくなってはしゃいで「ワンッ!」と思わず一吠え出ちゃったとか、夫を駅までむかえに行って駅から出てきた夫を見つけて嬉しくなって「ワンッ!」と思わず一吠え出ちゃったみたいなレベルです。

なので、連続で「ワン!ワン!ワン!ワン!・・・」とちゃんと吠え続けたのを聞いたのは、たったの1回だけでした。

 

では、愛犬がたった1回だけ吠え続けたのは、どんな時だったか。

それは、愛犬が我が家に来てくれた初日の夜のことでした。

家に到着したばかりの昼間は、怖がりな性格全開で部屋の一角に設置しておいたケージの中に入ったきり出てこようとしませんでしたが、夜になってハーネスと首輪とリードを見せたら「あ、お散歩ですね。」と言った感じでおずおずとケージから出てきて、大人しく装着させてくれて、お散歩もトイレも無事に済ますことが出来て、愛犬も私もお互いホッとした瞬間でした。

こうして、お散歩を済ませて家に戻ってきて、玄関で愛犬の足を拭き、装着していたハーネスと首輪とリードを外してあげたところ、愛犬は一人でテクテクと廊下を歩いてリビングの方に戻って行ったんですね。

怖がりだけどお散歩は好きみたいで良かった~とか思いつつ、続いて私も靴を脱いで家に上がって、洗面所で手を洗っていたところ、突然、リビングの方で愛犬が「ワン!ワン!ワン!ワン!・・・」と吠えだしました。

えっ?!どうした?何があった?

慌てて洗面所からリビングへ行き愛犬の様子を見てみると、リビングに敷いておいた愛犬用の長座布団の上に立っていて、何やらリビングの角の天上あたりを見ながら吠え続けていました。

その時の私は、真っ先に「あ、もしかしてこの仔、ワンワン吠えちゃう仔なのかな?」と、集合住宅ゆえに焦ってしまい、咄嗟に愛犬の名前を呼んで「どうしたの~?」と声をかけてしまいました。

すると、愛犬は私の声に反応してハッと我に返ったような顔をして、私の方を見て、吠えるのを止めて落ち着きました。

 

それで、愛犬と暮らしていた頃は、愛犬が我が家に来てくれたばかりの初日のこの時に、いきなり私が吠えるのを制してしまったから吠えない仔になってしまったのかなぁと思っていたんですけど・・・

今になって考えると、私が吠えるのを制したから吠えない仔になったわけではなかったのでは?

元々吠えない仔が、我が家に来てくれたばかりの初日に吠える必要に迫られたから吠え続けたのではないだろうか?

なんて思えてならないのです。

だって、愛犬は愛犬の人生の中で、犬らしく吠え続けたのはこの時の1回限りなんです。

愛犬が我が家に来たばかりのその日、愛犬が見ていた我が家のリビングの角の天上あたりに、吠えて追い払いたいような存在がいたのではないかと。

でなければ、普段は「ワン!」の一吠えさえもめったに吠えない仔が、なぜに我が家に来たその日の夜にだけ吠え続けたのか、理由が分からないじゃないですか。

あの時、私には見えていない何かを愛犬は見ていて、そして、これから自分が暮らす家から人間の目には見えていない何かを、吠えて追い払ってくれたのではないかと、私は思います。

そして、心優しき先代の愛犬と暮らした日々を、今でも感謝しています。

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