【書籍】「母という呪縛 娘という牢獄」毒親と暮らした娘の苦しさが切な過ぎた

皆さん、今から2年程前に講談社から発売された『母という呪縛 娘という牢獄』と言う本をご存知ですか?

毒親育ちの一人娘の私は、この本の元になっている手記を書いた女性の気持ちが分からなくもない人間なので、彼女の苦しさが切な過ぎました。

殺人事件

事件の始まりは2018年3月10日、琵琶湖の河川敷で、両手、両足、頭部のない、体幹部だけの人の遺体が発見されました。

そして同年6月5日、警察は看護師をしていた被害者の娘を、死体遺棄容疑で逮捕しました。

その後、死体損壊、さらに殺人容疑で逮捕・起訴に踏み切り、一審の地裁ではあくまで殺人を否認していた娘でしたが、二審の高裁に陳述書を提出し、一転して自らの犯行を認めました。

長きにわたり教育虐待を受け続けていた31歳の女子大生の娘が、実の母を殺害し死体をバラバラにして捨てた事件でした。

 

この事件についての全容は、フジテレビ系列28局のデジタルニュースメディア「FNNプライムオンライン」のYouTubeチャンネルの

【Mr.サンデー】“教育虐待”医学部9浪の末…母を殺害した娘【実録ドキュメント】

という動画で詳しく知ることが出来ます。

 

そして、受刑者となった娘の手記や裁判記録などから親子の関係を克明にうきぼりにした書籍が、 『母という呪縛 娘という牢獄』です。

2018年1月20日 午前3:48 「モンスターを倒した。これで一安心だ。」

母を殺害した直後につぶやいた娘のツイートは、未だに時が止まったまま残っています。

長きにわたり教育虐待を受けて自由に人生を歩めないでいた娘にとって、母は本物のモンスターであり、モンスターを倒した娘は心の底からホッとしたんだろなと、私は本気で思っています。

 

犯人である娘の気持ちが分かる

「FNNプライムオンライン」のYouTube動画の中で、逮捕後の娘は

「なにより、誰も狂った母をどうも出来なかった。いずれ、私か母のどちらかが死ななければ終わらなかったと、現在でも確信している。」

と語っていて、毒親とは無縁の幸せな親子関係が築けているご家庭の人には、きっと、全くもって理解出来るような言葉ではないでしょう。

でも、彼女と同じく毒親である母のもとで生まれ育った一人娘の私には、彼女ほどの苦しみには至らないまでも多少身に覚えがあって、正直、この言葉は分からなくもないのですよね。

私は母に頭を箸で刺されかけたことがあったので⇩

それ以来、私は「もしかしたら母が包丁を持って私の部屋に入ってくる可能性はゼロではない」と常に万が一の事を頭の片隅で想定しながら暮すようになりましたし、「家にいる時こそ、たとえ寝ている間でさえも、自分の身は自分で守らなければ」と思うようになりました。

彼女が耐えきれなくなって事件を起こしたのは、31歳の時。

そう思うと、私がもしも30歳の時に夫と結婚していなかったり、未だに実家から出られないままでいたとしたら。

犯人である娘の「いずれ、私か母のどちらかが死ななければ終わらなかった」は、他人事ではなく本当に我が身の話だったかもしれないと思います。

 

恩師の意見も分かる

また、動画の中で犯人である娘の高校時代の恩師がインタビューに答えていて、インタビュアーの

「その時(彼女が助けを求めて恩師の家に来た時)に、先生が(母親の教育虐待を)公にしていたら、事件は防げたと思いますか?」

と言う質問に、先生は

分からないです。あのお母さんだったら、どうするかわからないから。

ともかく、表面的にはいい家族なんですよ。本人も隠して、お母さんも取り繕って、だからあれに(警察が)気付くのはなかなか・・・

と答えているんですけど、めちゃくちゃこの先生の言っていることが分かります。

過去記事で私も同じようなことを言及しています⇩

とにかく私もそうでしたけど、娘は親の悪口になるようなことを、大っぴらに公表して誰かに助けを求めるなんて出来ないんですよね。

罪悪感と、あと、恐怖で。

たとえ誰かに助けを求めようと思ったとしても、その後に親から何をされるか分からない恐怖が凄すぎて、実行できないと思います。

そして母は母で外面が非常に良いので、家族以外の人には気づいてもらえませんでしたしね。

だから、先生のこの意見は的を得ていると思うし、先生がうかつに動いていたら彼女が母親から酷い目に合わされかねなかったのも事実だと思うので、先生のこの意見は、当時の生徒である彼女のことをしっかり考えてあげていた証拠だと思いました。

 

懲役10年。

彼女は今、牢獄の中で罪を償っています。

殺人、とだけ聞くと許される事ではないでしょう。

でも、彼女がそうせざるを得なかったその苦しさが、その気持ちが、切な過ぎました。

しっかり罪を償った後、今度こそ、自由に自分の人生を生きて幸せになって欲しいと、同じ毒親育ちの一人娘は心から願っております。

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