毒親の母が言った「親孝行」とは

毒親について

私の母は毒親でしたが、昔は毒親と言う言葉もなかったですし、世の中的にも毒親の存在が認知されていない時代だったので、私が毒親と言うものを知って母が毒親なのだとはっきり認識したのは、もう30代の半ばになってからでした。

なので、私が実家でまだ暮らしていた20代の頃は、両親や母からの言動の理由がどうしても理解することが出来ずに「なんで私の親だけこんななんだろう…」と思い悩む毎日を過ごしていました。

そして今日は、私が社会人になってたぶん5~6年経った頃に聞いて心底失望した母の言葉について書きたいと思います。

保険屋さんから聞いたショックな話

20代半ばの頃、当時私が勤めていた会社には生命保険会社の営業の人が昼休みになると時々やって来ては、みんなのデスクにパンフレットを置いて行ったり、保険加入者の手続きをしたりしていて定期的に来社していたので、私もパンフレットを渡されながらちょっとだけ話を聞いたことがあったので、営業の人とは顔見知り程度にはなりました。

そんなある日のこと。

いつも来ていた営業の人がちょっとぼんやりとしていて何だか具合が悪そう?で、私の近くにいた上司の年配の男性もその異変に気付いて「具合悪いの?」と聞いてたので、私も流れでそのまま一緒に話を聞くことになったんですね。

すると、保険会社の営業の人は

「いえ、元気は元気なんですけどね・・・先ほど会社の方から連絡が入りまして。」

そう言って、ちょっと声を小さくして事情を聞かせてくれたのですが、営業の人の話を要約すると、自分が担当していたお客様が23歳の若さで心臓発作で突然亡くなられた連絡が入り、その方の保険の手続きをこれから会社に戻ってすることになった、とこのことでした。

営業の人にしてみれば、自分の息子ほどの若い方が、大学を卒業して社会人になって入社してすぐに自分が担当して生命保険に加入されて、ほんの3ヶ月月ほどで亡くなられてしまったことに

「まだ若いのにね・・・人生これからの人だったのにね・・・」

とショックを受けていたようでした。

この話を聞いて、私自身も、会ったことも無い人ではありましたが私より若い方の死と言うものを目の当たりにしたような気がしてしまいかなりショックを受けて、その日一日、ずっとそのことが頭から離れないまま仕事をしていたのでした。

話を聞いた母が言った言葉

当時、母の毒親っぷりが日に日にエスカレートして行く中、私は普段は自己防衛のために自分からはあまり親に話しかけないようにしていたのですが、この日ばかりは、聞いた話がどうにも衝撃過ぎたので、仕事から帰宅してから思わず台所にいた母に話しかけてしまいました。

営業の人から聞いた話を母にして、「若いのに可愛そうだよね。」「残念だっただろうね。」そんな話をしようと思ってしまったのです。

ですが、私の話を聞いた母が一番最初に発した言葉は

「あらぁ~親孝行じゃないの。」

私は、最初は母の言葉の意味が全く分からなくて

「えっ・・・?なに・・・言ってるの?」

と、戸惑いながら思わず聞き返してしまいました。

すると、母は私を見ながらなぜだかニッコリ、いや、今思い返すと、ニヤリと言った方が正しかったですね、突然笑顔を浮かべまして、

「だって、親に3千万円残してあげたんでしょ?偉いじゃないの。」

言葉の意味が分かって凍り付いた瞬間

思ってもみなかったまさかの母の言葉でした。

私の心が凍り付きました。

当時の私は、まだ母が毒親だとは分かっていなかったので、母は躾と言うには度を越した厳しさだけど、もしかして?万が一?母なりの正しいと思う信念があったりするのかも?しれないし、だから私にも普通の家庭の何倍もの厳しさで接しているのかも?しれないと思っていましたが、この母の言葉を聞いて、この人には信念や筋なんてものは元々なかったんだと気づいた瞬間であり、自分の母が人として最低なこんな言葉を言う人間なんだと、完全に気づいた瞬間でした。

そして私は、それはつまり、「未だに生きて親にお金も残していない私は、親孝行ではない。役立たず。」と言われているように感じて傷つきました。

母にこの話をしたことを後悔して、自分の親だけど心底失望した瞬間でもありました。

あの時の母の笑顔とあの言い方とあの言葉、今でも忘れられませんし、これからも忘れることは出来ないでしょう。

標的は娘の私

ただですね、今の私が母は毒親であると言う観点からこの時の事を考察してみますと、当時は気づけなかった事が見えてきました。

たぶんあの時の母は、亡くなられた方やそのご両親がどうこうではなくて、ただ単に、私をいかに傷つけ、私にいかにダメージを与えられるか、と瞬時に察知して発したのが、あの言葉でありあのニヤリとした笑顔だったのではないかと思われます。

そう、標的は私ただ一人だったのでしょう。

子供の体ではなく心を攻撃し弱らせて従わせてマウントを取る、と言うのが毒親の特徴の1つでもあって、当時の母は、いかに私を苦しめ傷つけ困らせるかと言う事に心血を注いていた時期だったからです。

でもまぁ、私を攻撃したい一心で言った言葉だったとしても、あり得ないですけどね。

毒親は、子供がどうされたり何を言われたりしたら傷つくかと言うことを、憎らしいほど瞬時に的確に見抜いて攻撃してくるのです。

この能力は本当に恐ろしいほど凄いのです。

私の様に親となるべく関わらないように暮らしたとしても、同じ家で暮らしている限りは、日々しつこく粘着して攻撃の手を緩めることはありませんでした。

なので、やはり一番の毒親対策としては、実質的に攻撃できないように、いつでも行き来出来てしまう距離ではなく、簡単には自分の所に来れないほどの距離で離れ、連絡も取らないか最低限にすることが大事です。

少しでも早く、少しでも遠くに逃げることを、毒親育ちはお勧めします。

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