大切な料理本

エッセイ

私の母方の祖母は、穏やかで優しい人でした。

母やその弟妹である叔父叔母から聞いた話では、祖母はかなりお嬢様育ちだったようですけど(聞いたら確かにまぁまぁなお嬢様(笑))、私が知っている祖母と言えば、慎ましやかで、祖父との生活は決して楽ではなかったようですが、祖父の材木店と家計を切り盛りして4人の子供を育て上げた立派な人です。

そして私は、子供の頃から躾と言うには度を越した母の厳しさにどうしても耐えきれなくなった時、祖母に電話したことが何度かありました。

ボロボロになった私の心の拠り所になってくれたのが、唯一、母方の祖母だったのです。

本当にありがたかったですね。

なので祖母は、私に対する母の言動についてや、私と母の関係性についても知っていて、いつもさり気なく私のことを気にかけてくれていたので、結婚してからは、実家へは年に一度お正月に新年の挨拶で日帰りで行くだけでしたけど、実家よりも遠い祖母の所へは年に数回は会いに行っていたくらいです。笑

 

そしてこれは、私が結婚してまだ3~4年目のお正月のことでした。

お正月前の年末に祖母が数の子を送ってくれたのですが、当時の私ってば、数の子はもちろん知っていたし食べたこともありましたけど、あの黄色い数の子は既に醤油漬けになっていてそのまま食べられる物だとは知らずに、白だしで煮てしまったんですね。

そしたら当然、数の子はあの綺麗な黄色ではなくなって透明感の無い肌色のような物体になり、とりあえず食べてみても、嚙み切れないゴムのような~固すぎるグミのような~感じになってしまって、それはもうハッキリ言って美味しくなかったのです。

この事を、お正月に祖母と電話で話していた時に、私としては「笑い話」のつもりでポロリと話してしまったんですね。

でも心優しい祖母は、祖母がせっかく送ってくれた美味しい数の子を私が台無しにしてしまったことを怒るでもなく、責めるでもなく、ただただ「ええ~っ?!」と驚いて話を聞き流してくれました。

 

そしてそれから1ヶ月くら経った頃、祖母と叔母(祖母の家の近所で暮らす母の妹)から、連名で何やら荷物が届きました。

祖母と叔母が連名で何だ?と思いつつも、さっそく中身を見てみると、焼き菓子が1箱と、その下には、分厚い料理本が3冊も入っていました。

ここからは、あくまでも私の推測のお話になりますが・・・

おそらく、数の子を煮てしまった話を聞いた祖母は、私と母の関係性を知っているので「なばなは母親に料理も教えてもらえなかったのかもしれない!全く料理が出来ないに違いない!」と思ったのではないかと思われます。

それで、料理が出来ない孫娘を心底心配して近所に暮らす叔母に相談をして、2人で料理本を選んで買ってくれたんだけど、いきなり料理本だけ送りつけると私が傷つくと思ったのか?

「おばあちゃんと叔母さんはね、あくまでお菓子をなばなに送ったんですよ。」

と言う体の焼き菓子を1箱入れて、料理本を送ってくれたのではないかと思います。笑

焼き菓子と料理本を見て、孫娘は祖母と叔母の優しさを瞬時に察知しましたね。

でも実際の私はその逆で、実家では家事もばんばんやらされていたので、結婚して実家を出て家事で困ることなんて1つも無かったんですけどね。

たまたま数の子の食べ方だけを知らなかっただけで。笑

でも祖母は、実の母のように私を心配して本を送ってくれたのだと思っています。

その節は大変ご心配をおかけしました(^^;

 

そして昨日は、祖母と叔母が送ってくれた料理本の中の1冊から、有元葉子さんレシピの豚の角煮を作ってみました。

色んな料理研究家の方の色んなレシピが紹介されていて、今でもとても重宝しています。

B5サイズくらいの大きさの豚バラ肉の塊をドーンと買いまして。

かなり大きめに8等分にカットして、茹で玉子と一緒にグツグツ。

有元葉子さんレシピの豚の角煮は、一度じっくり煮込んでから冷まして表面に固まった脂を取り除くのでさっぱりしていて、味が濃すぎず程よくて、ニンニクと生姜の風味も効いていて、とても好みの味でした。

これからは、豚の角煮はこちらのレシピで作るとしよう!

天国の祖母~~~昨日も料理本に助けられたよ~~~どうもありがとうね~~~!!!

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