何かがいるマンション

・不思議な話

もう25年くらい前のこと、夫がこの街で暮らし始めたばかりの頃は、駅前にそこそこ大きい病院があったそうなんですけど、結婚して私がこの街に引っ越して来た時には、既にその病院は他の駅へ移転していて、更地になっていました。

なので私は、駅前のその空き地が病院だったことも知りませんでしたし、その空き地に20年前くらいにタワーマンションが建設された時は、駅チカだし新築だし、すぐに完売になるんだろうな~と思いながらマンションが完成していく様子を見ていたのです。

そして思った通り、マンションが完成する頃には「完売御礼」の垂れ幕がかかっていて、そりゃ~そうだよね~なんて思っていました。

 

そして、その駅前のマンションが出来たちょうどその頃、私はとある習い事をしていました。

先生は私と同い年の女性だったので、習い事のことだけでなく、ちょっとした雑談なんかも出来る話しやすい先生でした。

その先生は、新築マンションからほど近い所にあるマンションにご夫婦で住んでおられ、そのマンションを終の棲家と思っていたそうですが、ご主人の意向もあったようで、数駅先の町に戸建てを建てられて、長年暮らしていた駅前のマンションを売却することになったと聞きました。

「来週が引っ越しなんだけど、もぉ~大変で大変で( ̄д ̄)でも、マンションはすぐに売却できたから良かったですけどね~」なんて言いながら、先生ご夫妻は無事にお引越しを済ませ、習い事の教室も変わらず続けてくれていました。

そして、いつものように習い事に行った時に「新居はどうですか?やっぱり最高ですか(^^)」なんて雑談がてら聞いてみたところ、かなりこだわりを持って設計されたお宅のようで、「建てるまでは色々大変だったけど、設計とか好きなので、けっこう楽しかったです!」と新居のお話をしてくれました。

 

ところが、先生が急に「そよりもさ~、不動産屋からちょっと変な話を聞いちゃって・・・」と話し出したので、変な話?と疑問に思いながら話を聞くと。

先生ご夫妻は駅前の不動産屋経由で住まわれていたマンションの売却をしたそうなんですけど、その不動産屋の担当の人が

「手続に数日いただけると助かるのですが…。実はそこの新しいマンションの売り物件が次から次へと出てきて、今ちょっと大変なんですよ~(^^;」

と話してきて

「新築の分譲マンションで、建ってからまだ1年くらいしか経ってないのに、もう売り物件が出てるんですか?」

と先生が聞いたところ

「そうなんです。あそこ元々は病院だったからか?皆さん「何かがいる!」って言って、出て行く人が続出しているんです。」

と言っていたらしいのです。

その話を先生から聞いた私は、思わず

「え、あそこって前は病院だったんですか?知らなかったです…それで…「何かがいる」って…いったい何がいるんですかね?」

と聞いたところ

「なんか、家の中に人がいるのが見えたり、見えない人でも家の中に何かがいる気配がして恐くて住んでいられない~ってことらしいよ。」

と教えてくれました。

 

ちなみに、先生は冗談でそんな話をするような人ではなかったので、本当に不動産屋から聞いた話なんだろうなぁ~と思いました。

それに、病院跡地の怪談話ってよく聞きますけど、全ての病院跡地で怪奇現象が起こるわけないやん(´∀`*)ウフフくらいに思っていたのに、こんなに身近な所で病院跡地にまつわる怪奇現象の話を聞いてしまったわけです。

そんな話を聞いてしまった私は、仕事の帰り道に時々そのマンションを見上げてみるようになったんですけど、確かに明かりが点いている家がまばらなような気がしないでもなく・・・

あれから20年近く経ちまして。

その後、そのマンションに住まわれている方々は大丈夫なのかしら?と、未だに勝手にちょっと心配していたりします。

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