もしもこの世に幽霊がいるならば、私はこれまでの人生で最初にして最後、たった1回だけ幽霊らしき姿をこの目で見ました。
幽霊を見たことは無かった
50代になってこのブログを始めたのを機に、これまでずっと人にはほとんど話してこなかった自分が体験した不思議な出来事を「不思議な話」と言うカテゴリーで書いています。
その不思議な体験のほとんどは、何かの声が聞こえたとか
何かに触れられたとか
前触れも無く急に恐怖感に包まれたりとか
いわゆる「幽霊を見た」とか「オーラ等が見える」みたいに何かが見えたりはせず、時々体調か何かの具合で「ちょっと勘が鋭くなる」くらいのことなんだろうなと思っていました。
もやもやした黒い影
そんな私がたった1回だけ「やっぱり幽霊を見たのかな?」と思ったことがありました。
あれは、何年前のことだったかな?
まだ先代の愛犬と暮らしていた頃のことなので、なんだかんだで10年くらい前のことになるかもしれません。
ある夜のこと、私はいつも通り和室に布団を敷いて寝ていましたが、夜中にフッと意識が戻った感じで目が覚めました。
愛犬が私の布団で一緒に寝ていて、その向こうの布団で夫もスヤスヤ寝ています。
外はまだ真っ暗で、街灯などの明かりが和室の窓の障子越しに入ってきて部屋の中がぼんやりと見えるくらいで、「なんで目が覚めたんだろ?」と思いながらボーッと目を開けて暗い部屋の中を見ていると、不意に和室の押し入れが気になりました。
そのまま何の気なしに押し入れに目をやると、押し入れの右側の襖が全開になったままになっていて「あ~押し入れ開けっぱなしになってるなぁ~…」と思いながらそのまま押し入れを見ていたんですけど、襖が全開になっている右側の押し入れの上段に、もやもやと黒い影のようなものが見える気がしたのです。
・・・ん?・・・黒い影?・・・何だ?
私はむっくりと上半身を起こして布団の上に座って、黙ったままじーっと黒い影を改めて見てみました。
すると、そのもやもやした黒い影は、気付けば人の形になっていました。
つたない絵ですが、もやもやした黒い影はこんな感じ ⇑ でした。
真夜中の薄暗い部屋の中でしたが、黒い影の塊はわりとちゃんと形として見えて、そして、その黒い影は真っ黒ではなくて絵のようにほんのり青く発光している黒に見えました。
押し入れの上段から上半身だけが見えて、長い髪はだらりと垂れさがっていて、両腕だけが前後に動いて、まるで、映画の貞子がテレビから這い出てこようとしている感じでした。
ただ、貞子のようにはっきりと人の姿には見えなくて、あくまでも人の形をした黒い影が動いている感じでした。
私の心の葛藤
その人の形をした黒い影をはっきりと目で捕らえた時、実は私、ぜ~んぜん怖くありませんでした。
なぜなら、これは夢かな?とか、寝ぼけているのかな?と思って、目の前の出来事に半信半疑だったから。笑
家の中で幽霊が見えるなんて「そんなことあるわけねぇべさ。」くらいな気持ちでした。
だから怖さも感じなかったし、どうせ夢から覚めたら「はい、朝でした!」とか、寝ぼけて目の錯覚で見えているのなら、じっと黒い影を見ているうちに消えるだろう!と思いながら、薄暗い部屋の中で2分間くらい、布団の上に座ったままアホみたいにその黒い影を黙ってじーっと眺めていたんです。
でも、2分くらい経って「ん?まだ消えない・・・ちょっと長すぎじゃね?」と思い始めて。
いい加減「え?もしかして、これは夢とか錯覚ではないの?」と言う疑問が湧いてきて、だんだんと怖くなってきたのでした。
その間、黒い影は上半身をだらりとさせたまま両腕をずっと交互に動かして、押し入れの上の段から下に向かって前進しようとしている動きをしていましたが、腕を動かしているだけでその場から少しも下には移動して来ませんでした。
「ええ~・・・まだ動いとる・・・」
「やっぱり黒い影いるよねぇ・・・」
「これは本当なのか?」
「夢ではないのか?」
自問自答を繰り返しながら、相変わらず黒い影を黙って眺めていると、それまで両腕を動かすだけで少しも下に降りて来なかった黒い影が、ほんの15センチか20センチくらいズズッと少し下に移動したような気がしました。
そこで私はハッと我にかえり、
「あ?動いた?!ヤバい!夫と愛犬を守らなきゃ!」
そう思った瞬間、焦りと共に私の中の危機感と戦闘態勢のスイッチが入った感じがしました。
すると、そのタイミングで、ずっと眺めていても消えなかった黒い影がスッと消えて、普通の押し入れの景色に戻ったのです。
「あ、消えた・・・?」
でも、このままじっと目を凝らしていたらまた黒い影が見えるかもしれない・・・じーっ・・・じーっ・・・1分くらい同じところを見ていましたが、再び黒い影は現れることはありませんでした。
それで私、こんな事があってもまだ「夢を見ているのかも」と思う気持ちが強くてですね、それを確かめるためにもだし、すっかり目が覚めてしまったのもあって、そのまま寝ずに朝まで起きておこうと思ったんです。
人間って、あまりにも日常とかけ離れた事が起こると、にわかには信じられないものなのかもしれません。笑
こうして布団に横になることなく、4時になり、5時になり、外が完全に朝日で明るくなって6時になり、いつものスマホのアラームが鳴って、起床する時間になりまして。
それはつまり、あの押し入れで見た動く黒い影は夢ではなかったと言うことが確定した瞬間でした。
あれ以来、私はその人の形をしたもやもやした黒い影を見たことはないので、いったいあれが何だったのか?分かるすべはありませんが、何度も出てくるようにならなくて良かったとホッとしています。
そして、私がもしも「幽霊を見た」と言えるとしたら、唯一、この時の黒い影かなと思っています。
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