【本当にたたかったお嫁さま】その33.父が私の父としていてくれた日

・本当にたたかったお嫁さま

前回の【本当にたたかったお嫁さま】その32.「続く心理戦と、絶望感と。」では、

2000年9月下旬の日曜日、いよいよ両家の顔合わせの食事会の日をむかえましたが、集合場所に来た父から、母は食事会に来ないと言われました。

その言葉を聞いて、私は一瞬だけ頭の中が真っ白になったものの、母は一人でずっと反撃に出るタイミングを狙っていて、私が一番ダメージを受けるだろうと思われる行動を取り、何とか結婚を破断にさせようとしているのだと瞬時に判断しました。

と同時に、この日のためにわざわざ東京まで来てくれたカレのご両親にとても申し訳ない気持ちと、いくらおおらかなカレのご両親でもさすがに気分を害されるのではないか、そして、カレのご両親が私たちの結婚に難色を示されるかもしれないと思い、血の気が引くほど動揺しながら、食事会をするお店に向かいました。

そしていよいよ、カレのご両家と父が初めて対面したのでした。

今日はそのへんのお話をしたいと思います(^^)

 

集合場所に来てくれた父を連れて食事会のお店に向かいながら、途中でカレはカレのご両親のケータイに電話をして、宿泊してもらっているホテルのロビーに降りてきてくれるようにお願いしました。

カレのご両親が宿泊しているホテル内にある日本料理店で食事会をする予定になっていたので、まずはホテルのロビーで一旦全員集合してから、エレベーターで一気に最上階のお店に向かうことにしたのです。

ホテルのロビーに向かう途中、父は母のことについては最初に「お母さん、来ないって。」と言ったきり何も話してこなかったので、父自身が母が来ないことについてどう思っているのか?も私には分かりませんでしたし。

私も父に母のことを何も聞かなかったので、きっと父も、娘が何を考えているのかなんて分からないままだったと思いますし、何も聞きもしない娘が不気味だったかもしれませんね。笑

でも、もう母が来ないと言う事実は変えられないですから、父も、私も、母について何も話さなくても「自分がやるべきことをやるしかない」と分かっていたと言いますか、複雑な気持ちもありつつも覚悟を決めていたのかもしれません。

 

カレのご両親には、母が来ないなんて申し訳なさしかなかったし、話によってはこの結婚も反対されてしまうかもしれない不安に押しつぶされそうになりながら、とうとうホテルのロビーに到着しました。

すると、満面の笑顔でロビーの片隅に佇んでいるカレのご両親の姿が。

「ああ、あんな笑顔で待ってくれている・・・母のこと、なんて話そう。どうしよう。心臓がドキドキする・・・苦しい・・・」そんな気持ちに包まれながら、父を連れてカレのご両親の所まで行きました。

すると、空港で私と初めて対面した時のように、カレのご両親は笑顔で私の父と挨拶をしてくれました。

そして私が、今のうちに母が来ないことを何とか伝えなければ・・・私が何とかしなければ・・・と焦っていると、次の瞬間

「本日は大変申し訳ありませんが、妻が急な用事で来れなくなってしまいました。すみません。妻がよろしくお伝え下さいと申しておりました。」

と、父からカレのご両親に母の謝罪をしてくれたのです。

 

父が私の父としてカレのご両親に謝罪をしてくれたことに、本当にびっくりしました。

だってそれまでの父は、私が母からどんな仕打ちをされても見て見ぬふりをして、私を盾にして母の攻撃から逃げてきたし、だから私はいつも自分一人で何とかしてきたものですから、この日も当然のように私が自分でカレのご両親に話をしなければと思っていたんです。

思いがけない父の助け舟でした。

と同時に、この両家の顔合わせに一人で来てくれた父、娘の代わりに謝罪してくれた父に、久しぶりに「ああ、この人、私のお父さんなんだな~」って実感が湧いて、ありがたいなって思えました。

思いがけず父がカレのご両親に謝罪をしてくれたので、私は急いで父の横に立ち、カレのご両親に向かって頭を下げました。

すると、カレのご両親は「あ~そうですか~、お気になさらず~(*^_^*)(*^_^*)」と笑顔でサラリと母の件を流してくれて、何事も無かったかのように一緒にお店へ移動し、少々の緊張感もありつつも美味しい日本料理を食べながら談笑して、最後に父からカレのご両親に手土産も渡し、つつがなく両家の顔合わせの食事会を終えることが出来たのでした。

 

食事会の後、カレのご両親はホテルの部屋へ戻られ、カレと私は地下鉄の入り口まで父をお見送りしてから、カレのご両親の部屋に再び戻って、お茶を飲みながら4人で少しおしゃべりをしてから、カレはカレの家へ、私は実家へ其々帰路に着きました。

帰宅途中、私は電車の中で1人、魂が抜けたように完全に呆けていました。

きっと傍かたっ見たら「どしたよ?(・・;」と思われるくらいアホみたいな顔をしていたと思います。

だって、母のせいで半日前まではあれほど絶望や不安に包まれていたのに、最悪な状況にもならずに無事に両家の顔合わせを終えることが出来て、今はこうやってホッとして電車に乗っているのが、まるで夢の中のように感じたからです。

母の「両家の顔合わせに行ってやらない作戦」を、カレのご両親の懐の深さと、カレが私の母の人間性を理解してくれている懐の深さと、そして、父が私の父としていてくれたおかげで、私は母の思惑通りの人生になることを回避できたのです。

こんなにありがたく感じた日はありませんでしたね。

それに、カレの結婚の挨拶の後に母が爆発したって、仮予約までした結婚式場をキャンセルさせられたって、両家の顔合わせに母が来なくたって、母が次から次へと投げつけてくる爆弾のような悪意をこうやって乗り越えられたのですから、これは私の中で完全に自信につながりました。

帰宅したら家にいる相変わらず怒りをみなぎらせているであろう母の存在ですら、もう怖く感じなくなっていました。

ずっと怖くて重荷だった母の存在が、この日やっと、恐怖でも何でもなくなったのでした。   ~つづく ~

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