今日は、パソコンの前に座っていてつい先ほど体験した、少し不思議で少し切ないお話をしたいと思います。
以前、干し柿の作り方をご紹介する記事を書いたことがありました。
私が干し柿作りを始めたのは10年くらい前からで、初めて干し柿作りにチャレンジした時は、干し柿用の渋柿は山梨県の果樹園から直接インターネットで購入しました。
この時、果樹園のオーナーさんが渋柿と一緒に「干し柿の作り方」と言う手作りの説明書も箱に入れてくれていて、私はこの説明書を見ながら干し柿を作ったので、言わば私の干し柿作りの最初の先生は、こちらの果樹園のオーナーさんと言うことになります。
そして、干し柿作りの先生と言えば、もうお一人おります。
渋柿を干していく過程で「この状態は大丈夫なんだろうか?」とか、「どのタイミングで次の作業をすればいいんだろう?」などの疑問が幾つか出てきて困っていた時に、私はとあるブログに出会いました。
あまり詳しいことは控えさせていただきますが、庭や近所の山から収穫した四季折々の果物や食材を加工したり料理したりして、レシピや料理を紹介されているようなブログで、その方の暮らしぶりが庭も無ければ近くに山も無いような殺風景な町で暮らしている私にしてみれば、とても素敵でとても羨ましい限りでした。
そしてもちろん、毎年秋になると干し柿作りもされていてブログに書かれていたので、私の疑問の参考になるかもしれないと思い干し柿の記事を幾つか拝見させていただいたのですが、残念ながら私が欲しい情報については書かれていませんで、ちょっと残念でした。
でも、これだけの料理などの知識がある方なら、きっと私が疑問に思っていることもご存知だろうなぁと思ったんですね。
それで、その方はいわゆる無料ブログを利用されていて、アカウントが無い私でもコメントをすることは出来たので、私はちょっと勇気を出して、その方のブログのコメント欄に干し柿についての質問を書かせていただいて、教えを乞いました。
すると、「その状態で大丈夫です。甘くなっている証拠です。」とか「もう食べられると思いますが、硬いのが好きなら、もう少し干しても良さそうですね。」とコメント欄にお返事をいただき、適切なアドバイスをしていただいたおかげで、私は初めての干し柿作りで美味しい干し柿を作ることが出来たのでした。
それ以来、私は何か保存食を作る時とかに分からないことがあると、時々こちらのブログにお邪魔させていただいては色々拝見して、参考にさせていただくようになりました。
色んな人が色んな情報を発信しているネット情報で調べるより、この方のブログを拝見した方が明確で分かりやすいからです。
そして今日、つい先ほど、かなり久しぶりにこちらのブログにお邪魔したのですが、最新の記事の日付が1年ほど前になっていて、「あれ?ブログ辞められたの?」と思いながら読ませていただいたところ、その最新記事を書かれていたのは、ブログの管理人さんではなく、ご主人様で。
10年以上癌と闘われ、そして、お亡くなりになられたとのことでした。
実際にお会いしたことは無い方ですけど、訃報を知って、じんわりと寂しい気持ちに包まれました。
私が干し柿のことで教えを乞うた時には、既に闘病されていたのですね。
それに、最後の最後まで闘病されていることはおくびにも出さず、ずっと変わらず台所仕事のことばかり軽やかに楽しそうにブログに書かれていて、私も昨年からブログを書き始めた身としては、本当に頭が下がる思いです。
最後に、その方が利用されていた無料ブログではブログ記事の下に『いいね』とか『役に立った』とか幾つかボタンがあって、記事を読んだ人がボタンをクリックしてあげられるようになっているので、私はご主人様が書かれた最後の記事に、ブログの管理人さんのご冥福をお祈りするとともに、色々教えていただいた感謝の気持ちを込めて『応援』のボタンをクリックさせてただきました。
でも、その無料ブログのアカウントを持っていない私は、『応援』ボタンをクリックしても無効となってしまい、「ああ、お礼が言えないのかぁ…」と気落ちした、その時です。
ほんの一瞬、ふわ~っ…とお線香の香り。
窓も開けていない密閉されたリビングのパソコンの前に、どうしてお線香の香り?
でも、なぜかしら全く怖いとかはありません。
そして、その香りはすぐに消えて、あれ?っと鼻をクンクンさせてみたんですけど、やっぱりもう既に無臭に戻っていました。
気のせい?
いや、一瞬、だけど確かに、お線香の香りだったのよね。
感謝の気持ちだけでも届いてくれたのかしら、と思ってみたり。
私の干し柿の先生、今年も無事、干し柿を干すことが出来ました。
どうもありがとうございました。
ご冥福をお祈りいたします。
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