幽霊と戦おうとした話

エッセイ

昨年の夏のことでございます。

寝静まった真夜中、私は突然得体のしれない恐怖感に襲われて目を覚ましました。

そして、自分でもどうしてそうしたのかは分からないんだけど、たぶんリビングの方が気になったんでしょうね、布団からムックリと起き上がり、真っ暗なリビングの方を見たのです。

私の横には猫くんが、そして、その向こうの布団では夫が、私が一人妙な恐怖感に襲われていることも知らずにスヤスヤと寝ていました。

迫りくる幽霊

リビングの方に目を凝らすと、真っ暗なリビングの中に、何やら黒い影のような?モヤのような?物体が3つか4つくらい見えてきたのです。

部屋の中は暗いのにも関わらず黒い物体がいるのがなぜだか見えて、寝ぼけているのか?私…と自分の目を疑いながらも目が釘付けになってしばらく凝視していたら、その黒いモヤは、ぼんやりと人の形をしていることに気づきました。

・・・幽霊!?!

助けて!と夫に助けを求めようとしたけど、声が出なくて、さらにこみ上げてくる恐怖。

何度も助けてと言おうとしたけどどうしても声が出なくて、ただただ苦しいのです。

そうこうしているうちに、幽霊が少しずつこちらに近づいてくる気配を感じて、ヒィッ!と心臓がバクバクしだしましたが、それと同時に

「あっ!夫と猫くんを守らないと!!」

瞬間的に思った私は、怖くて呼吸困難になりそうになりながらも、迫りくる幽霊たちに向かって震える腕を前に出し

ファイティングポーズ!!!

幽霊たちと対峙したのでした。

 

っと、ここで目が覚めました。

夢だったのです。

目が覚めた瞬間、よほど体に力が入っていたようでグッタリと疲れていて汗もかいていて、声が出せなくて苦しかったのでしばらく息を止めていたかのようにゼイゼイと息が上がっていて、心音が自分でも聞こえるくらい心臓バクバクになっていました。

・・・あぁ・・・夢かぁ・・・本当に怖かったぁ・・・・・

自分のアホさ加減を知る

そして、しばらくして呼吸が整い落ち着いたら、ふつふつと笑いがこみ上げてきて

「ムフッ・・・ムフフフッ・・・」

真っ暗い部屋の布団の中で天井を見上げながら、思わず一人で笑ってしまったのでした。(←はたから見たらこの光景の方が恐ろしいよね…)

だって私、幽霊と対峙すると言うシチュエーションで、念仏やお経を唱えたりするでもなく、お札やお守りを突き出すのでもなく、ファイティングポーズで応戦しようとしたんですよ。

夢の中なのであれば逆にどうとでも戦いようはあったでしょうし、何だったら「月に代わってお仕置きよっ!キラキラキラ~ン!」みたいに華麗に戦うことだって出来ただろうに、結果、私の選択肢はファイティングポーズだったと言う…

実体のないものに対して実力行使で戦おうだなんて、私、強いんだか?アホなんだか?

うん、アホか。

ただまぁ、ヘッポコ主婦が家族を守ろうとした心意気だけは、ご理解いただきたく。笑

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