並べばいいってもんでもない

エッセイ

日本人って、リゾート施設のアトラクション、美味しいと評判の店、人気商品の発売日などなど、毎日のようにどこかしらに行列していて、それでも整然と並べるところは凄いと思うし、つくづく並ぶ文化だなぁと思うのです。

でも、私自身は行列に並ぶのは苦手です。

だからと言って、割り込んだりズルしたりはしませんよ。笑

こんなに並んでいるならいいやと諦めるか、空いている時を狙って行くか、よほどでない限り回避しがちで、並ぶ時は大袈裟な言い方ですが腹をくくって並ぶくらいの感じです。

だから、並ぶことを苦にせず並び続けられる人って、根気強い人だと思うんですよね。

でも時々、これはその根気強さの延長なのか?何なのか?と疑問に思ってしまうことがあるのです。

水族館にて

とある水族館へ行った時のことです。

大きな水槽を眺めていると、1匹のイルカが私の前にふらっと泳いで来て、目が合いました。

そのイルカはそのまま私の前で止まって寄ってきてくれたので、私とイルカは水槽のガラスを挟んでしばし対面してお互いの顔を見合っていました。

するとその時、私の背後でバタバタと足音が聞こえ、その音に思わず振り返ると、若いカップルが小走りで移動しているのが見えましたが、私は気にせず再びイルカの方に顔を向けました。

が、足音が私の後ろで止まったので振り返ると、スマホのカメラを構えながら私の後ろに順番待ちのように立っていたのです。

ん?もしかして、並んでる?

私が退くのを待ってる?

そう思った次の瞬間、彼女が私の顔の横にスマホを持った手を伸ばし、イルカのアップを撮ろうと1歩前に前進してきて、私は横に押し出される感じでイルカとのほっこりタイムは強制終了となったのでした。

大きな水槽で多くの人が人が自由に魚を眺めていると言うのに、ここで並ぶかねぇ。

道端にて

またある時は。

人間の腰くらいの高さの石垣の上に1匹の野良猫さんが日向ぼっこをして丸まって座っていたので、挨拶して撫でてあげてみると、とても気持ち良さそうに喉をゴロゴロと鳴らし始め、しばし野良猫さんとほっこりタイム。

すると、そこに若いカップルが通りかかり、彼女の方が「カワイイーッ♪」と声をあげたので、私は心の中で「だよね~」と思いながら気にせず撫で続けていたら、ふと、背後に気配を感じます。

振り向くと、通りかかったカップルが立ち止まっています。

でも気にせず撫で続けていると、何やら話し声が聞こえるので振り向くと、カップルがおしゃべりしながら立っています。

気になってまた振り向くと、話しかけてくるでもなく黙って立ち続けてコチラを見ています。

ん?もしかして、道端で猫を撫でているだけなのに、並んでる?

私が退くのを待ってる?

結局、1分くらいずっと待たれちゃったので、何だかコチラも悪いような気になってきてしまい、ここでも野良猫さんとのほっこりタイムを終了せざるを得ませんでした。

並ぶって何?

何なのでしょ?ふとした時に訪れる人のささやかな楽しい瞬間を、ある意味横取りするように並ぶのって。

並びさえすれば、自分もその人のささやかな楽しいひと時を譲ってもらっても良いと思っているのかなぁ?

まあ、いきなり突き飛ばさないだけ遠慮する心があるのかなとも思いますけどね。笑

でも、並べばいいってもんでもない、と横取りされた側のおばさんは思うのであります。

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